「気まずい思い」と「恥ずかしい思い」その2

昔のチャーリー浜さんてこんな感じだったかなあ?

 さて、話は変わりますが、先日、仕事をしていると「泰平さん、1階にお客さんですよ」と声をかけられました。1階に行くと、そこに見知らぬジイさんがいました。「あんたが泰平さんね?」「はあっ」「ワシはあんたのジイさんに世話になった富士という者じゃが…」「はあ」「あんた、お父さんば泣かせちゃ遺憾バイ」「へっ?」。ちなみに私の親父は人前で泣くようなタマじゃない。そりゃあ、朝の連続テレビ小説「おしん」を観ながら、子役の演技に目をウルウルさせていたことはあったが……。

 「あんた“へっ?”じゃないよ。まだ結婚しとらんそうじゃないか」「はあっ…」「“はあっ”じゃないよ!」私は見知らぬジイさんから1時間ほど説教されました。そして履歴書を書かされ、私の写真を渡すように要求されました。「安心しなさい。ワシが立派な嫁ば世話しちゃる…」どうして、私が説教されなくちゃならないんだという想いを胸に家族にその話をしました。「ありがたい話じゃないか。今どき、親身になってお嫁さんを紹介してあげようって言ってくれる人は、そうはいないよ」祖母のトシコはそう言います。

 それからしばらく、そのジイさんは私の周りに現れませんでしたが、数日後、道でばったり会いました。「おう、元気にしとるか?」20分間ほど説教されたのち「いい娘がおるぞ」「はあ」「“はあ”じゃない。初婚、34歳の女性で顔はイマイチじゃが優しい心を……」私がけげんな顔をするとジイさんが「いやか?」と訊きました。「はあ、ちょっと…」「“はあ、ちょっと”じゃない。38歳にもなって…」「あのォ、ボク30歳ですが…」「へっ…そう…30歳?いやぁ…そう…わしも最初からおかしいとは思うとったんじゃ…38歳にしちゃ若いし…子持ちにしちゃ、くたびれとらんし…」「はあっ?」「はっはっは、じゃあまた…」それ以来、そのジイさんにはお会いしていません。きっと、気まずい思いをしたのでしょう。ちなみに、説教されただけの私は、いったい何だったんだろう。(昨年の話、今は31歳だよ~ン。ジイさん、また来るのかな?)

 気マズイ思いをもう一つ。子どものころ回覧板を持って由成さん宅に行った時のこと。「ゴメンくさい(チャーリー浜か?)」と大きな声で呼びかけると、家の中から「は~い」という返事の代わりに、ご主人の怒声が聞こえてきました。「お前が…〇△×…。」「何よ、あんたこそ☆×□…」「なんてやぁ…」そうです、夫婦ゲンカの真っ最中だったのです。明らかに、口喧嘩では奥さんの方が勝っているようです。普通なら、後で出直すとか回覧板を置いてくるなどするのでしょうが、なにせ子どものこと、知恵が回らない。

 大きな声で叫びます「ごめんくださ~い」しかし、この声も聞こえていないようで「ぎゃっ、何すんのよ!」「グエッ、こ・このアマぁ…」どうやら手が出たようです。「ご・め・ん・く・だ・さぁ~い」どうやら声が届いたようで、急に静かになり、しばらくして奥さんが出てきました。「ほほほほほほほっ」「あの、回覧板です」ご主人も出てきました。「お父さん、元気?」少し、足を引きずっています。奥さんの方が強いようです。これは、由成さん夫婦も幼い私も、どちらも気まずい思いをした出来事でした。

 兎にも角にも、気まずい思いをしようと、もーすぐ夏がやってくる。

 夏といえば、海。毘沙門町の海岸には「はいれぐ娘」が出没する(1年前にも同じ事を書いとる)。ちなみに私は曼荼羅町で広報紙をつくりながら、隣の毘沙門町に住むという出稼ぎ職員。町民税は曼荼羅町に払っておらず、払っているのはタバコ消費税くらいのもの。それはそれでいいとして、毎年、はいれぐ娘を見学に行こうと思いつつ、原稿締切りに追われ、気がつくとお盆を過ぎ、クラゲが出てきた海水浴場からは海水浴客は消え、はいれぐを拝むことは叶いません。(別に、拝む必要はないのだが…今年で31歳。トホッ)

(平成3年7月(下)に続く)

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