「愛しとうぜ」って言ってチュウばするったい

硬派ものろける、新婚生活

 さて先日、労働組合の動員で天神町(てんじんのちょう)に行きました。思えば、広報の仕事をするようになって休日はほとんど取材で、都市部のお店などに出かけることがめっきり少なくなりました。(なぜか、中洲にはよく行ってたりして…)別に買い物をするつもりはなかったのですが、CDを3枚買いました。昔は、レコードはよく買っていたのですが、CDが主流になってレコードプレーヤーが店頭から消え、今まで買い集めたレコード盤が無駄になったような気がして、あまり音楽を購入しなくなっていました。

 意外とマニアックな音楽が好きで、今回は「姫神」のCDを購入。まあ、知ってる人は知ってるが、知らない人は知らないグループです。まだ、デビューしたてのころは、音づくりも粗削りで、なかなか好きだったのですが、HNKの番組テーマ曲なんかによく使われるようになり、洗練され、喜太郎(シルクロードの…)っぽい曲が多くなり、少しずつ熱が冷めていきました。しかし、久々に聴いてみると…まだ、髪の毛がフサフサしていたころを思い出し、やっぱイイなあと思ってしまうから不思議です。忙しさに、音楽を愉しむ機会も少なくなり、世の中の雑多な誘惑に惑わされることが多い自分にとって、3枚のCDはなかなか良い、自分へのプレゼントだったようです。(おい…、マジかよ?)

 雑多と言えば31歳独身男性にとっては、やっぱり結婚のこと。望むと望まざるとにかかわらず、家でも職場でも、友達との会話でも結婚の話題が多くなります。日曜日のお昼、桂三枝さんの「新婚さんいらっしゃい」が始まると、そそくさとチャンネルを変えるか、逃げるように居間から退散するという日々。ううっ。やっぱり新婚さんは、イヤですね。先日結婚した丸金子先輩(1歳年上)は、カラオケでいつも「網走番外地」や「唐獅子牡丹」を歌い、後輩からは「硬派」と思われています。新婚なのに忘年会続きで帰宅時間は毎日、午前様。「おなご(女性)は、家ば守っとけばよか」などと強がりを言います。

 で、この前一緒に飲みに行きました。最初は「嫁なんか…」と何やかやと亭主関白ぶりを話していましたが、酒がまわり赤ら顔になると、わざわざ私のほうににじり寄ってきて「泰平ちゃん…」と小声で話しかけてきます。「何すか?」「あんた、まだ結婚せんとな(しないのか)?」「うん、そのうちしたいんですが…」「結婚なぁ、よかばい(いいよ)」「ふ、ふーん、そうですか?」「朝、出かけるときにね」「ふんふん」「あ、あ、愛しとーぜって言うてチュウするったい」「へ、へーっ」「そしたら嫁さんも「私もよ」って言うてここに(唇に手を当てて)チュウするったい」「ほ、ほーっ」「よかろーが」「そうですね」「それだけじゃなかとぜ…夜は夜で…」(いえい、ちちくりマンボ…♪)

 チクショウ、何で楽しい酒の席で新婚さんのノロ気話を聞かなきゃなんないんだ。しかし、新婚さんはいやだね。(と言いつつ、自分もそうなるに違いないと確信している)と、ここで、いったんペンを置きます。5時の退庁時間になったからです。今日も忘年会。高校時代の友人たちと飲みます。毎年、クリスマス前後に飲んでいます。昨年はタクシーがつかまらず、タクシー乗り場で2時間以上並びました。今日は、何時に帰れるやら。

(平成4年1月号(下)に続く)

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