話を聞き出すのが上手くなってきたようだ
職業による苦労話と言えば、先日、駐在所のおまわりさんと飲み屋で一緒になり、いろいろ話を聞いてきた。この日は、町内の中学生が怒られて家出し、自殺の恐れがあるとのことで消防団が山狩りを行った(残念ながら…)日の夜のことであった。
ほろ酔いの松風氏(警察官)に話を振ってみた「まんだら署管内は、飲酒運転がとてつもなく多いそうですねェ」「県内の検挙率が1.9に対して、ここは6.3ですよ。ひどいもんです」「ほほお」「いえね、前はパトカー勤務だったんで、今でも走っている車を見ただけですぐに飲酒運転かどうかわかるんですよ」駐在所の松風さんの話に熱が入ってきた。「一番つらいのは、張り込みですよ」「へーっ」「5時間も6時間もじっとしているのは、とても大変だ。目を離すこともできないし、神経はピリピリさせとかなきゃならないし……」
昨年、台風の後の天候不順で野菜が高騰した時期があった。特にキャベツなどの葉物は、通常の5~6倍まで値段が高騰し、キャベツそのものも手に入りにくい状況になっていた。釈迦郡は岡福市の食糧供給地である。栽培技術が高い農家の畑にはキャベツが育っており、そのキャベツ畑にキャベツ泥棒が出没していた。キャベツ泥棒なんて、都会の人が効けば面白い話かもしれませんが、キャベツ1個に1個600円や800円の値がつけば死活問題です。その時の張り込みの話になりました。
松風さんは声のトーンを落としながら「畑って広いでしょ。通常は2人1組で張り込むんですが、2か所に分かれて真夜中、6時間も張り込むんですよ」「ほーっ」「もちろん、目立つのでタバコは吸えない。おしっこもできない(その場で静かに用を足すとか)。何もない日が何日も続くと、人生に対する疑問とかがどんどん浮かび上がってきて、自問自答を繰り返すようになるんだ。辛いよ、誰も分かってくれないだろうが…」「ほほーっ、まあビールをどうぞ」
「でもね、待ちに待って犯人が現れたときは快感なんだ。心臓が破裂するんじゃないかと思うくらい早鐘のように打つんだ。今までの苦労が報われたというか…あれは快感だよ」「まあ、ビールをもう一杯……で、すぐに取り押さえたんですか?」「いや、キャベツ泥棒だ、手に鎌などの刃物を持っているはずだ。殺されたり、逃げられたりするわけにはいかんし、どんなヤツかもわからん」「こ、怖いですね」「すぐの本部に連絡を入れて応援を頼むんだ。同時に、畑の中を這いながら犯人に近づく…もう、心臓がバクバク…うーい、ビールおかわり」
いろんな職業があるけど、みんな大変なんですね。しかし、広報広聴をしているせいか人から話を聞き出すのが上手くなったような気がする。まあ…ビールを一杯。
今回は、うら広報を書くのにどーも気分が乗らず「今回は止めよう」とおもったものの、書いてみたら8ページにもなっちゃった。あんまし、明るく、おもこい話じゃなかったんで……まあいいか、次回までに5月病を直して明るいことを書こうっと。何かありましたら、楽しいお便りをください。お待ちしています。
まんだら町の若大将:泰平 楽 (1992年5月27日)
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