まさか、婿養子の話じゃないだろうな。

 さあ、ここまでくるとネタがない。ネタがないと、最近すぐに登場するのが祖母・富子である。先月号の金三郎さんの話は凄くウケ「どうも、作り話ではないか」という疑念の声もありましたが、本当の話です。ちなみに家族は、うら広報で自分のことをボロクソに書かれていることなど知りません。もし、知られたらと思うと…はははは。特に、祖母・富子は明治生まれの冗談が通じない婆ァです。先日、行政区老人クラブの矢原タエさんが、国からリサイクルなんちゃら賞を受けました。「こりゃ、めでたい。何かお祝いをせにゃいかん」と思い立ち、父・匠にどん「どんないをしたらよいか」を相談していました。

 父・匠は宮崎県の友人からもらった焼酎を飲んで酔っています。「そりゃあ、リサイクル活動に役立ててくださいと100万円くらいぽ~んと寄付すりゃ喜ばれろうもん」と軽く冗談のつもりで言ったところ、祖母・富子は真っ赤になって怒り、父・匠を「アル中」と罵っていました。このようなこともあるため、うら広報の内容が家族に漏れるということは絶対にあってはならないことなのです。そこで今回、家族ネタはパス。祖母・富子と人気を二分する光野に登場してもらう。光野は、鹿山氏の口瀬さんが会ったこともないのに「光野君に会ってみたい」と言わしめた人物である。

 最近は光野も残業が多いらしく、休日は家でゴロゴロしている。ゴロゴロして電話にも出ず、奥さんから“ゴロゴロオタク”と呼ばれているとのこと(幸せそうで良かったね)。その光野が「泰平さん、女の子に会ってみない?」と切り出してきた「えっ、本当か?」(声が上ずっている)「まだ若いよ、27歳」「おおう、性格のいい娘かい?」「えっ?ま、まあ」「ほーお、可愛い感じかい?」「えっ?う、うん若い。相手が公務員だったら誰でもいいという娘で…」泰平の表情に不安の色を読み取った光野は「泰平さん、えり好みする年齢でも、顔でもないでしょうが」という。「うん、まあ、そうだが…」(素直な泰平)

 「しかし“公務員だったら誰でも…”というのは引っかかるぞ。まさか婿養子じゃないだろうな?」「えっ?」「おい」「べ、別の娘もいるよ。こっちはエレクトーンの先生だ。両親はいい人で…一人娘だけど」。役所に三島(旧姓:鴨田)という同級生がいる。婿養子で、養子先の家族はみんな下戸で誰も酒を飲まない。義父は「飲んでも構わん」と言うが、一人だけ酔っていく姿を素面の家族から見られるのは辛く、家では飲ま(め)ない。夕方「散歩に行ってくる」と外出してコンビニでビールを買い、コソコソと隠れるように飲んでいる。哀れである。(桑原、桑原、桑原和夫は吉本新喜劇:意味のないフレーズ)

 先日、消防団の集まりで酒を飲んでいると、アメリカで買ったというマドンナの“SEX”という写真集があった。アルミ板の表紙、テレビでも話題のノーカット版だ。それを班長が差し出した「見る?」。紙質はあまりよくない。あれだけ騒いでいた割にはたいしたことなく、少なくとも奇麗とは感じなかった。しかし、巷にはあまり出回っていない「マドンナの写真集」を見たというのは、少しですが優越感を感じるものです。文化課の覚木氏と組合事務所で話していると「今度、マドンナの写真集が出るね」と振ってきた。「ああアレ、見ましたよ、ノーカット版」その一言でヒーローになれる。

 「えっ、ノーカット版?見えてたワケ?アレが…」「ええ、でもたいしたコトなかったですよ」「どこで見たの?」「消防団の先輩が持ってて…」「今度、借りてこれないかな~」「どうでしょうかですねェ」覚木氏は高校生のころ生徒会長をしていたという真面目な人である。労働組合の中でも何年も書記長を続ける中心的な役割の人物であり、学校給食のセンター化施策に真っ向から反対し、反対運動の先頭に立っている。そんな覚木しですら「見えてたワケ、アレが?」や「どこで見たの?」「借りてきてくれないかな~」とまで言わしめるマドンナ。いやいや、すごい。

 そりゃそうと、先月号でご紹介したとおり商店街の特設ステージでテレビカメラに映り、その番組は11月初旬に放送されました。いろんなことを言ったにもかかわらず「誰か僕のお嫁さんになってくださーい」と叫んでいる部分だけがオンエアーされました。テレビを観ていた家族は、何も言わず、何も触れようとしませんでした。もちろん、あがって石になり、緊張で怖い顔になってしまった光野の部分はオールカットでした。さて「嫁さんになって…」の反響ですが、まったくないということはありません。テレビの影響力は凄い。と言っても、婿養子の話しか来ないのが悲しいのですが…

(平成4年12月号(参)に続く)

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