役場の光野さんが電話するようにと言ったので…

後輩にいらん心配をかけるダメな先輩

 ツイてないと言いながらも、12月22日はしっかり飲みに行きました。この日の飲み会では、うら広報ネタを集めるつもりが、祖母・富子ネタとマルミ・金三郎の老夫婦ネタがウケ、しかも、腫れあがり眼の周りがパンダ状態になってしまったことの顛末を説明しなければならず、聞き手ではなく話し手になってしまい、集まったネタは小粒でした。さて、この日は友達の友達の大久保君(岡福市役所)が若い女の子を2人も連れてきており、泰平のテンションは高い。高笑いをしながら、吟醸酒をカパカパと飲んでいました。「へえーっ独身なの?…ボクも…。きゃわいいなァ~」と、軽さ全開。

 ちなみに、硬派、オクテと言われる泰平が、初めて会った女性に“きゃわいいなァ~”などと間抜けなことを言うことはほとんどない。しかし、いくら軽く振舞っても試合後のボクサーのように腫れ、右目がパンダのように鬱血している顔に恐れをなす女子2人。「私、南城区に住んでいるの」と住所まで聞き出したのはいいが、一人娘。婿養子希望であった。「僕ちゃん、次男だよん」(情けない32歳の血の叫び)にも「ああ、そうですか」と肩すかし。とても脈があるようではなかったので、友人の雅中君と話し始めた。うら広報のネタ探しである。過去にも彼のネタを何度か披露している。

 10年ほど前、昼休みに新聞(宝くじの当選番号)を見ていた雅中君の上司が、急に「だーっ500万円当たった」と叫んだ。確認すると確かに当たっている。その日は上司のおごりで、どんちゃん騒ぎ。翌日は、家族そろって特上の握りずしを食べに行ったとか。その翌日、換金のために銀行窓口で当選券を提示。「少々お待ちください」と別室に案内され、しばらくすると銀行の偉い人が新聞紙を片手にやって来て「申し訳ありません」と新聞の訂正記事を見せられた。当選番号は誤植で、上司は2週間ほど荒れていたとのことだが…話としては出来過ぎている。かなり酔っぱらっていたので話の信憑性などどうでもよい状態になり、ケラケラ笑っていると「用があるんで」と2人の女の子は帰ってしまった。

 翌日、酒臭い息とガンガンする頭を抱えて寝ていると、祖母・富子が起こしに来た。「楽。女の人から電話のかかって来とるばい」「誰?」「知らん」早速、電話に出てみた。きっと、英会話スクールか投資の勧誘だろうと思いつつ「ぼしぼし(鼻が詰まっている)泰平ですが…」「あのぉ、私…△□と言いますが…光野さんから電話をするように言われたんです」「はっ?」「だから、役場(もう市役所だよ~ん)の光野さんが、電話をかけるように言ったんです」そういえば数日前、光野が私の自宅の電話番号を確認に来ていた。去り際に「ふふん」と不敵な笑いを投げかけていたような気もする。

 「…沈黙(相手が誰か知らないし、寝起きの二日酔いでテンションは低い)…ははっ、スイマセン、昨日、遅くまで飲んでて起きたばっかしなんスよ。はははは(何をつまらんことを言っとる)」「…ええ、私も昨日遅くまで飲んでたんで…起きたばかりなんです…」「…長~い沈黙…」気まずさが増す。「はははは(とにかく笑うしかない)」「…再び長あ~い沈黙…」気まずさが頂点に達する。「じゃあ、一応かけましたから」「はあ」「じゃあ、お大事に」「はあ、さようなら」こういう電話を受けると気になるもので「酒を飲む女か…」光野も事前に電話があると言ってくれればいいものを…と思いつつ、後輩に妙な心配をかけていることに申し訳ないとも思いながら、タバコに火をつける。

(平成5年1月号(参)に続く)

Follow me!