毎月、全戸配布するゴミをつくっている担当者です

 リーン、リーン!!5月10日の昼休み、ご飯を食べてくつろいでいると「広報について意見があります」という住民から電話があった。「あのぉ、わたし以前は福岡市に住んでいたんですけどぉ」「はいはい」「まんだら市の広報紙はページ数が多くて…」「はいはい」「かさばってゴミになるんですけど、ページを減らすか、廃止されてはいかがでしょうか」「うっ」「実際“まちの若っか者”などムダなページもあって、興味ないし、ワンパターンで面白くないし、税金の無駄遣いたと思います」「うっ…」「ちゃんと聞いてますか?」「…う、はい。でも、以前お住まいの福岡市でも月に2回の広報紙が出ていますよねぇ」

 「はい出てましたよ。でも福岡市のは新聞形式でページも少なく、チリ紙交換にも出せるので、ススんでいましたよ」「あのお、ススんでいるというより福岡市は人口も世帯数も多いので短期の大量印刷に対応できる新聞形式をとってあるんだと思いますが、一般的にはウチのような冊子形式が多いんですよ」「だから、お役所って嫌い…一般的だからって独自の工夫をしないんですもの…やっぱり福岡市の広報紙の方がチリ紙交換に出せるのでいいんです。まんだら市の広報は、資源ごみに分別しなきゃいけないゴミでしょうが…」さすがに、ここまで言われると怒りを通り過ぎて唖然となる。

 「あのぉ、ゴミと言われますけれど…」「そう、かさばるゴミ!」「…か、紙の広報紙が、最も安くて確実な伝達手段なんですよ」「でも、分別しなきゃいけないゴミになるんです」「……」つくっている本人を前に「ゴミ、ゴミ」と…なんとワケのワカラン主婦だ!と、思ってはみたものの、普通の主婦、本気でそう言っているだけに、とても辛い。とにかく、本人にとって広報紙は、分別する紙ごみにしか過ぎないのである。この主婦にとっては、わたし広報マンは、毎月、全戸配布する紙ごみをつくっている役立たずの税金泥棒みたいな職員にしか見えないのでしょうね。こ、こ、これは辛い。

 「しかし、住民の皆さんの中には「もっと情報がほしい」や「楽しいコーナーを作って」という人もいますし、チリ紙交換には出せませんが資源回収事業者に渡していただけると助かります…ご協力をお願いします」すでに、回答内容はゴミの有効な処分方法である「あーあ福岡市は良かったわ、ゴミ料金はタダだったし、分別して出す必要もなかった…水道料金も安くて水は使い放題だったし、やっぱり、まんだら市はダメね」喉のここまで出かかった“じゃあ、福岡市に帰れ”と言う言葉をぐっと飲み込み「……と、とても貴重なご意見、ありがとうございました」と震える声で応えました。

 さあて、原稿締め切りまであと3日。まだ8ページ分の原稿、いや、ゴミの素をつくらなければいけない。表紙下に書き込む「あなたがつくるみんなの広報」というキャッチフレーズをとても虚しい想いでレイアウト用紙に書き込んだ…。のっけから暗い話題で入ってしまった。ちなみにこのうら広報のテーマは「読むと元気になる手紙」だが、人を元気にするなんて、とても、今はできそうもない。ってなわけで、早くなぐさめてくれるお嫁さんを探そう。

 さあて、次の日になりました。一晩眠ればイヤなことなど、すっかり忘れてしまうという有難い性格。すでに元気回復、ユンケル皇帝液。ううっ、先月は広報交換をしている各自治体の担当者の皆さんに、アンケートなんぞお願いし、答えていただいたりして、あっ、あっ、ありがとうございました。(ううっ、広報紙を送付していただくときのついででよかったんですけど、わざわざ別便で郵送いただいた自治体もあったようで(ううっ、返信用の封筒を入れとくべきでした)申し訳ない)回答いただいた内容は、集計して、来年の人員確保や予算計上などに、役立たせて、い、い、いたみじゅうぞう。

 久留米市の担当者からの電話「今からアンケートの回答をFAXしますから、番号と担当者名を教えてください」「わざわざ、すみません…えーと、番号は092-123-4567です。担当の泰平宛てに送ってください」「えっ?泰平って、あの泰平さんですか?」このうら広報の影響は大きく「あの泰平さん?」や「もしかしたら泰平さん?」若しくは「あはっ、ひょっとして泰平さん?」と受話器越しに言われることが増えました。「はい、泰平です」と応えると「あはっ泰平さん、韓国に行かれたそうですね」「はぁ」「感染りませんよね、電話で病気は…」こらこら…兎にも角にも、皆さんありがとうございました。

(平成5年6月号(弐)に続く)

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