ご自慢のSONY V-5000だが、ビデオカメラは嫌いだ

 ってなわけで5月16日、毘沙門町消防団の総員訓練がありました。規律訓練の後、ホース延長訓練が行われました。実際に水を飛ばし、ドロドロになったホースを(濡れたホースは10㎏くらいになる)肩に担ぎ、走り回りました。天気も良く喉はカラカラ。そして私は班長さん。訓練も終わり「よーし飲みに行くぜ」と元気な班長。すると会計が「お金、6,000円しかないよ。缶ビールにしよう」と言い出しました。飲みに行こうと言い出した手前「よかよか、金なら俺が持っとうけん、心配すんな」と太っ腹。たらふくビールを飲み、雑談をしていると話題はハゲの話になっていった。

 さて、ハゲの話は度々、このうら広報にも出る。先日(ゴールデンウィークに)兄が奥さんと子供を連れて帰って来ていた。兄は若ハゲで、既に髪はおじさん状態になっている。その兄が「おっ、お前もずいぶん薄くなったなァ」とつぶやいた。「そ、そうかい?」「おう、すぐにでも育毛剤を使ったほうがいいぞ」とマジな顔で言った。その夜、思い出したように2枚の鏡を持ち出し、自分では見ることのできない頭頂部を確認してみた。「うっ、まさか…これは(見る)角度が悪いんだ」自分自身へのショックを認めたくない私は、よせばいいのに、ご自慢のビデオカメラSONY V-5000を引っ張り出し、テレビにつないだ。

 画面に頭頂部を映し出したのだった。「うあああ…(絶句)」18インチの画面いっぱいの頭頂部の映像に、現状を認識せざるを得なくなりました。「もう、ピンポイント活毛では対応できなくなっている」声にならない心の叫び。ビデオを外しテレビに戻すと、中野浩一がCMに出ている「ほーらほら、この間わずか20分。自然に増えれば笑顔も自然」「ううっ…」以来、薬局で育毛剤を購入し、つけている。育毛剤、使ったことがある人ならわかると思うが、臭い。しかもつけた後、頭皮がカッカと火照る。あまり好きじゃないが、ここまで抜け毛がひどいと背に腹はかえられないのである。

 話を戻すが、消防団でのハゲの雑談。団員の五角が「オレ最近、頭が薄くなってねぇ、カミさんがそう言うんですよ」頭じゃなくて髪だろと思いつつ「どれどれ」彼の頭頂部を確認。ピンポイント活毛どころか、地肌が全く見えていない。「五画、お前は甘い。まだハゲのハの字にもなっていないよ。ねえ川島さん」川島さんは、私より1歳年上。ちなみに彼の頭髪は、かなりきている。光の具合では、髪の毛を透かして頭の形が確認できるのである。「おう、それはハゲのうちにはならん」と同意する彼。私は酔っていた。「俺なんか、かなりきてるぞ」と自分のことに話を進めた。

 「いやいや、班長はおでこが広いだけでハゲちゃいませんよ」(ちなみに、広報を担当する前まで、おでこは狭かった)。横にいた川島氏が、だんだんと無口になっていった。私は酔っていた。ぐっと頭をつき出し「ここ、この頭のてっぺん」と一番薄い部分を指さした。「ううっ」口ごもる五画。「どうだ、薄いだろ。これこそまさにハゲ」酔ってはいたものの、そこまで言ってしまうと哀しさが込み上げてきた。「ほーらほら、この間わずか4年半」自分の気持ちを打ち消すかのように口をつく中野浩一のCMの真似。隣の川島氏は涙を流して笑い転げていたが、心なしか腹が立つ。(お前もハゲの仲間だろ)

 さらに追い打ちをかけるように五画が言う。「おお本当だ、頭のてっぺんは髪の毛がまばらになっていますよ…楽ちゃん(こら、班長と呼ばんかい)早く嫁さん見つけたほうがイイよ」それを聞いて、さらに笑い転げる川島氏。(お前だってハゲの仲間だろ、笑い転げられる立場じゃないだろ)自分で言い出しておくながら、何か腹が立つ。“まばら”と“嫁さん”の2つのキーワードにすっかり不機嫌になった班長の泰平くん。もちろん、そのあと私は中ジョッキでビールを5~6杯空け、ベロンベロンになったことは言うまでもない。しかし、ビールのみでの宿酔いって、かなりキクよなァ~。

(平成5年6月号(参)に続く)

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