なぜか、泰平に突然の春がやって来る

 しかし、この裏広報を始めた4年前は“結婚”ということばに、まったくと言っていいほどイメージもなく、笑い話のように「結婚できね~っ」「彼女がほしいよ~」などと書いておりました。しかし、33歳と6か月にもなって結婚話の一つもないと(二つも三つもあったら、それはそれで問題なのだが…)もう、笑い話ではすまなくなる。本人が望むと望まざるとにかかわらず、周囲が許してくれない。冗談で笑い飛ばしたつもりで言っても、笑ってくれない。周囲はそれを本気で受け止めたり、不憫に思われたりして、逆になぐさめられたり…それは、さすがに嫌である。

 先日、敬老の日を前に市長の高齢者訪問があった。先月号(養子縁談話のお誘い)の件があったため市長車に同乗せず、係長と一緒に広報車でついて行った。しかし係長に急用ができ、市長車に同乗することとなった。また、例の話を蒸し返されたくないので、息を殺し目立たぬようにしていた。しかし私の顔を見るなり、市長は例の話を持ち出してきた。「泰平、結婚せんか?もう33歳だろ」「はぁ…」額からは冷や汗がタラタラ。「早く取材を終えて帰りたいよ~」頭の中で繰り返す。「どんな女性が好みだ?んっ?」市長は車窓から見える女の子を指さしながら「あれか?んっ?それとも、あれか?」と言う。

 ううっ…正月のおみくじではないが、このような状況が続くのは遺憾。本気で考えなきゃいけない時期が来ている。しかし、誰もいいというワケにはいかない。遺憾、遺憾。髪も薄くなったし……今回は明るいネタのつもりだったのに暗くなってしもうた~。ううっ、元気出して、早く結婚相手を見つけよーっと。…と、暗くなりかけた数日後…、季節は冬に向かっているというのに、突然、唐突に春がやって来た。ううっ、ドキドキ「もしもし、泰平さん。全国広報コンクールで入選4席に入りましたよ」という昨年の県からの電話よりもドキドキ。ついに、この裏広報に泰平のおのろけ話が始まるのか!!

 …とは言っても、まだ始まったばかり。単なる秋の晴天(小春日和)にならないように、泰平は慎重である。うふっ、おこぜ町の稔ちゃん、賀遠町の河石内さん、うふふ…悪いネ。春の訪れの声を聞いてからというもの、仕事はとんと手につかず、暇さえあれば小躍りし、高い所へ行けば「ヤッホー」と言い、夜、布団に入ればうれしくて眠れず、30分くらい笑い続けております。以来、自分が意外と純情であること、お馬鹿であることを知りました。ふふっ、酒を飲んで平気で尻くらい見せるような輩なのに…まだ、ドキドキしてしまって、手さえ握れないんですもん!!(すでにのろけ話は始まったようだ!!)

 うふっ、うふふっ、うっふっふっふ…。遺憾、遺憾、自然に顔が笑ってしまう。ナチュラル‐ハイになってしまっている。今は、毎日でも会いたいし、いつまでもお話ししたいと思っているわけでして…今日、電話があり、すぐに飛んで行ってお顔を拝ませていただきたいよーという感情を抑え…裏広報を書いとりますですよー。兎にも角にも慎重に、慎重に…。ちょっとした誤解なんかで嫌われちゃ仕方がない。うふっ。裏広報がハイになっていくのか、それとも暗くなっていくのか…この慎重さにかかっているのぢゃ。ううっ。しかし、未だにこの自分の変わり様が信じられないのぢゃ。

小春日和になることを何より恐れる  泰平 楽(1993年10月11日)

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