泰平ちゃん、君には消防団三役が待っている

 先日10月号の校正をしていると、賀古町の野中さんがひょっこりと遊びに来た。「福井に行ったの?」野中さんは、私にとっては広報の神様である。福井(特に滋賀の夜)の話をし、新潟の八十嵐さんから「このひどさは、岡福県の県民性だ」と言われたことなどを報告しました。(この場合、僕はおとなしくしていたんですが、珂那川町の志浦君がねぇ…と、すべて志浦君のせいにする泰平であった)。「あれ…やったの?ムチ?」野中さんは遠くを見るような目で言った。「はい、やられましたよ。次の日、背中にミミズ腫れがくっきり浮き出て困りましたよ」野中さんはうれしそうに頷く。

 「あれは…熊本の大会から始まってねぇ…で、唐辛子の金玉ぬりぬりは?」と話題を深堀する野中さん。「今回は、やらなかったと思いますよ。少なくとも僕らが帰るまでは…」野中さんは、さらにうれしそうに「あれは、止めたほうがいいよ。クセになるから、やられたヤツが必ず仕返しをしようとするから収拾がつかなくなるし…塗られたら塗られたで、時間が経つにしたがって金玉が燃えるように熱くなって…最終的にはトイレに籠って金玉を冷やすヤツ、脂汗を流しながら無口になるヤツばかりになるから…あれは、止めたほうがいい」う~ん、最初に始めたヤツの言う言葉ではないと思うが…。

 さて、9月は鹿山市の口瀬さんからの電話(代八市の山末君、結婚が決まってからノロ気話しかしない…という内容)をはじめ、内庄町の中出さんから「今回は裏広報を送ってくるのが遅い」という(裏広報はオマケです)お叱りの手紙。また賀遠町の草牛君からは「贈り物します」という手紙にヌード写真が同封(草牛君!君は何を考えて生きている)。また、美香町の中今さんからは「妹は独身です」という心打つお手紙。そのほか谷金町や松浜市など、福井大会で知り合った皆さんからお手紙をいただきました。もう少しヒマになったらリストを整理して広報交換を始めさせていただきます。

 そのほか、9月には幼馴染の結婚式もありました。5年越しの交際でしたが両親からの激しい反対で職場まで辞めることになり、それでも交際を続けて結婚に至ったのです。身内は彼の父と弟しか出席しておらず、その父も酒をさすとこの結婚を快く思っておらず、ただただ悔やみ話ばかり…、世間体があるから、仕方なく式だけは挙げたと言うのである。もちろん結婚というものは、みんなに祝福されて行うのが幸せである。しかし友人は祝福よりも彼女を選んだ。すごいなァ…自分にそれができるだろうか…彼女もいないのにそんなことを考えていると、小学校の同級生が声をかけてきた。

 「うわっ、泰平ちゃん久しぶり。おいさん(オジサン)になってしもうたねぇ」「うっ、よせよ、俺はまだ独身バイ」「ウソやろ。頭のハゲ具合だけはもう課長さんのごとしとるとに…」こいつにはデリカシーというものが微塵もない。「お、お、お前も、えらくフケたじゃないか」と反撃を加えた。「いや、別にいいもん。もう、嫁も子供もおるけん、立派なおいさんやもん」「ううう…」「泰平ちゃん、今、班長しよろ?消防団の」「う、うん」「3年後、俺たちが最年長になったら、三役ばしてもらうけんね」「ええーっ、三役?」「誰も分団長ばせれ…やら言いよらん。部長、部長ばしんしゃい」

 「いやばい(いやだよ)、オレは次男だし家を継ぐワケでもない…2年後に毘沙門町にいるかどうかもわからんぞ」「養子に行くと?」「いや、養子どころか結婚の”ケ”の字も決まっていないんで、養子に行く可能性がないわけじゃあない」彼は新郎を指さし「誰っちゃよかけん、反対されたっちゃ、勘当されたっちゃよかけん、結婚したら毘沙門町い住んで、とにかく消防団の三役ばしない(三役をしなさい)」彼にとっては、私の人生より2年後の消防団の人事の方が重要なのだ。「よかよか、心配しなんなあんたの結婚式は、俺も出席しちゃあたい」(出席などしてほしくない)

(平成5年10月号:発行版(下)に続く)

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