やっぱり、ウワサの原因は光野だった

酔ったが勝ちのときもある

 もーいーくつ寝ると、おせうがつ(お正月)ですなァ。本当に1年が経つのは早いもんで、もーすぐ32歳になってしまう。つい最近まではジョークのつもりで「嫁さん欲しいよー」と言うとウケていましたが、だんだん相手側の反応が、笑いから同情、冷笑へと変わり、本当に焦ってきた今日このごろ……いかがお過ごしでしょうか?(とっても長いセンテンスの前置き……もうすぐ、数え年で34歳になるっちぇー)

 なんとか警察の御厄介にもならず、この1年間14回(内、2回は号外の市制施行特集号)の広報紙を出しました。長いようで、長あい1年間でした。広報も3年間も担当すりゃ、もーそろそろイヤになってくるもので「自、自由な時間がほしい(本当は嫁さん)」と思うようになります。最近は何かあるたびに「かわりたい、かわりたい」と連呼しています。(田佐町や海玄町の担当さんからのお便りの気持ちが、痛いほどわかるのぢゃ)

 そんなある日、酒を飲んでフラフラとお店(スナックMyo)に入ると、釈迦郡内3町の固定資産税担当者がおりました。その中に、浄土町の也口君がいました。前回のお便りでもちょいと書いておりましたが、この男、29歳でありながら、奥さんも子供もいるという、ふらちな奴であります。ちなみに彼が広報担当を担当していた時代、県の広報コンクールで入選したという過去を持ち、おまけに小柳ルミ子、樋口可南子、宮沢りえの写真集を持つというたわけ者であります。(何か、悪意が感じられる言い回し)

 この男、曼荼羅町の裕部(酒に酔い川に頭から転落、頭に大けがを負うも事故現場が脳神経外科の近くだったため、救急搬送され、後遺症なく完治。こいつとよく酒を飲む泰平クンは、いつも絡まれている。私、泰平はMです。ちなみに、こいつにも女房と子供がいる)と毘沙門町の優谷さん(酒を飲むと眼が座り、人格が変わる。気に入った女性がいると抱きついて離れない。「君は可愛いねェ、僕はいつも君を思って〇ナニーをしているよ」などと気持ち悪いことを平気で言い、職場の女性に嫌われている。飲まなければいい人。)と並ぶ、釈迦郡の三大酒癖悪男の一人である。

 この也口君が酔っ払っているときに飲み屋で会うとロクなことなく、いつも絡まれ(絡みやすいタイプなんだろうか?Mだから…)いやな思いをしていたので、飲み屋で酔った彼を見かけると、いつも避けていました。ところがこの日、私はとてもひどく酔っておりました。「うおおおっ也口く~ん、こちょ、こちょ、こちょ」「泰平さん、やめてくださいよぉ(この男、酔っ払っているときは先輩でも呼び捨てにするような無礼者だが、この時は私の勢いに押され、かなり嫌な顔でそう言ったのである)「何を言う、このタコ」(彼は、若いのに私より髪が薄く……、身体的なことを言っちゃ遺憾よね)と言って、酔った私は彼の頭をピシャ、ピシャと叩いていました。

 「勘弁してくださいよ…泰平さん」「勝った…」私は、心の中でほくそ笑んでいました。先月のお便りのように、ヤツは酔うととてもスケ兵衛になり、噂によると旅行のときなど若い女の子が入浴中であると聞くと、平気で前を隠して女風呂に入っていくような男です。今日は、この男に勝ったのです(何をもって「勝った」のかは、よくわからない)。

 しかし、也口君も巻き返してきました。「泰平さんって、スケ兵衛なんでしょ?」「ふん、男はみんなスケベェぢゃ」「聞きましたよ」(少し不安な泰平クン、妙な噂がたつと婚期がさらに遅れてしまう)「な、何を…」「泰平さんって、中洲のエッチなお店じゃ有名だそうですねェ」「だ・だ・誰がそんなことを…」「みんな知ってますよ。特に新地じゃ顔だって話じゃないですか…」「うそだ、そんなことは…」(すでに、相手の術中にはまっている)

 「ふふん、こういう噂が広まったら、泰平さんも、お困りでしょうね~」「たのむ…それだけは、ヤメてくれ」(ただでさえ婚期が遅れているというのに……)「まあ、泰平さんが態度を改めてくれるんなら、黙っててあげますよ」(よく考えれば馬鹿な話で、広報担当者には風俗街に通いつめられるほどの時間はない。もし、そーゆーうわさがあったとしても、みんなが知っていればヤツの口を止めても一緒である。かなり酔って判断力が鈍くなり、人格低下も起こっていた)「何でも言ってくれ、女の子の紹介をすることとお金のこと以外なら、何でも聞いてやる」(なさけなや)

 「聞いてやる?聞かせてくださいでしょ?」「うんうん、聞かせてくださいませェ」也口は勝ち誇った声で「今度、3町の広報担当者で飲みに行くとき、僕も誘ってください」「い、いいとも」ああ、也口クン…君も骨の髄まで広報病(編集症候群)に侵されていたのか。「うん、行こう、きっと誘うから…」「本当ですか?」「飲んで広報談義でもやろうぜ」「いや、広報はどうだっていいんです」「へっ?」「エッチなお店に連れてってくださいよ」「……」「知ってますよ、担当者でいつもエッチなお店に行ってるって…。ねっ、いいでしょ?」「…なあ也口君、俺がエッチなお店で有名ってウワサ、誰から聞いた?」「またぁ、曼荼羅町の光野が言ってましたよ」「えっ、光野~ぉ」

 原因は、先月号に登場した後輩の光野だったのです。そういえば、光野は最近「泰平さん、取材に行っても若い女の子に手を出しちゃいけませんよ…中洲のお姉ちゃんとは違うんですよ」などと無礼なことを言っていた。どうやら、ヤツの頭の中では泰平という男がとんでもない変質者に仕上がっているようだ。よし、今度、懲らしめよう。さて、そんなこんなで也口君と打ち解けて話していると「泰平さん、広報担当を変わりたいなんて言わんでくださいよ」「どーして?宮沢りえの写真集を貸してくれるなら変わらんぞ」「いや、貸してあげません」光野が貸してほしいとお願いしていたが、断られていた。

 「どーして貸してくれない?」「だって、泰平さんに貸したら変な汁で汚されそうで…」「ふん、ケチ」「広報から今の仕事に異動して思うんですが、当時は解放感でいっぱいだったんですが、今は何か寂しいんですよ。できれば、もう一度広報の仕事がしたいですよ」「そーか、そんなもんか?あんた、広報担当んときゃァ頑張っとったもんなァ…ところで、宮沢りえの……」「貸しません!」「んーっ、ケチ」広報は素晴らしい仕事だからもう一度やりたい。泰平さんも広報を続け一緒にエッチなお店に行こうと強調する也口君。宮沢りえの写真集を貸してと迫る泰平。お互いの論争は平行線のまま、2曲歌って帰りました。

(平成4年1月号(中)に続く)

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